自分は産業医もしており、いろんな会社で衛生委員会で講和をしていますが、皆さん5類がどうこうよりも、マスクをどうしていくかが大問題のようでした。どこも新しいルール作りに苦慮していましたね。ウィズコロナではなく、without マスクの難しさよ。
①「マスクはやっぱりつけなきゃいけない」
②「自分は外したいけど、他人が外すのはイヤ。でもそれは通らないからつける」
③「外したいけど、しかるべき場所ではしょうがないからつけるか」
④「もうみんな外していいんじゃない?外国では外しているし、いい加減にしようよ」
この4つの価値観の持ち主の中で、①②はマスクをつけて来院しますが、③④はマスクをつけて来ません。③は注意したらマスクをつけてくれますが④は絶対につけてくれません。もしくは怒り出すかもしれません。
かける時間と労力とのバランスを考えると、④を探し出してさっさと帰っていただくことが効率的です。そして待合室で①~③の人たちに「(あぁ、あの人はクリニックでもマスクをしない変な人なんだ。クリニックも大変ねえ)」と思わせることが大事です。
しかし④も腹痛など何かしらのトラブルを抱えた患者さんです。「マスクはドレスコード」「マスクをしていない人に医療を受ける権利はない」といった怒る材料を探すのではなく、④の人でも気持ちよく医療を受けて帰ってもらえ、かつ①~③の人も味方につけるスマートなやり方が求められます。
僕はマスクなしでクリニックへ入ってくる人は止められないかなと思います。特に外国の方とか。
「マスクなしの人は医療機関には入れません!」という態度はきっと正しいですが、あまりに過剰だとしらけます。
うちは「マスクございますが、いかがですか?」というくらいで終わりにしようと思います。
ポイントは「あなたが他の人たちに感染させたらどうするんですか!?」という姿勢にしないことです。
コロナに3年間携わってきて思いますが、基本的に人は他人のことまで気が回りません。
「自分が名前も知らぬ誰かのためにいま我慢しろ」というのは、長くは続けられないんです。
無症状ならなおさらです。
逆に言えば自分のためなら協力してくれるかもしれません。
言い回しとしては「院内には具合の悪い方もおりますので、マスクはいかがですか?」と勧めようと思います。あくまであなたのためにマスクを勧めていますという態度にしようということです。
それでもつけない方は仕方がないかなと思います。
その人にクリニックから出ていけと言うのは労力がかかるし、早く帰らせる努力をしたいと思います。そういう時は待合室の皆様は自分のためにマスクをしましょう。そのためにワクチンも打ったのだし。
もちろん咳をしている人など、有症状者がクリニックに入ってきてノーマスクであれば他の顧客の前で毅然とマスク着用を促して、発熱外来をお勧めしようと思います。
他の患者さんの前でクリニックの方針を明らかにするというのは大切だと思います。弱者を守る立場であるという態度を示す必要があると思います。
大事なことは、我々は日本国民全員を相手に医療しているわけではないということです。
国の目指すニューノーマルは理解しつつも、結局は自分のクリニックに縁のある患者さんのニーズをくみ取るしかない。その方々がアジャストできる速度で変化を進めるしかないと思います。
そもそも国の施策をきちんと理解しようとすると、コロナ禍当初のユニバーサルマスキングも発熱外来も、ワクチンや治療薬ができるまでの時間稼ぎです。なんのために時間を稼ぐかと言うと、高次の医療機関の医療崩壊を招かないためです。
あなたがマスクをすることは回りまわって、あなたの周りの人ががんになったときにきちんと入院できるようにするためなんです。医療は人も建物も費用も有限なので、コロナに割く医療が増えればコロナ以外の医療が委縮します。そうならないためにもう少し協力してもらえませんか、というのが真意です。こういうことを丁寧に話すスポークスマンがいないのも、日本の良くないところだなと思います。

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